『田園の詩』 NO.7 「不時不食」 (1993.9.7) 一年間を通じて、野菜を切らすことなく作りたいと願って『百菜園』と名付けた畑 からの恵は、夏場にピークをむかえます。代表的なものとして、梅雨明け前から キュウリが、そして8月初旬頃よりナスビが沢山取れ出します。 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」と言われますが、キュウリは「一夜見ぬ間」に、 もう取り頃となります。その成長の早さには驚くばかりです。こうなると、我が家の 食卓は、毎日キュウリのお出ましです。「これじゃ、まるでキリギリスみたいだナー」 と女房と笑いながらも食べ続けます。 そのまま生で食べるのが一番美味しいキュウリに比べて、ナスビは色々と料理の 幅が広いので楽しめます。≪ナスビ十品料理を食べる会≫は我が家の恒例の行事 で、仲間が沢山集まります。 「不時不食」という言葉があります。自然の状態で栽培して、その季節に収穫でき るもの以外は食べない、という意味に私は解釈しています。そして、私達もそのよう にしたいと心掛けています。 ![]() NO.4「一粒…」の写真のキュウリの双葉が(5/5写)、すくすく育ち、6/25より収穫 できるようになりました。触ると手にささるほどのトゲが付いています。また、新鮮なも のには白い粉みたいなものが全体に付着していますが、薬ではありません。 毎日、10本くらいとれます。大変です。 (08.6.26写) 今では、スーパーに行けば、冬でも夏場の野菜を見かけます。「旬のもの」という 感覚がつかめません。その点、自分で野菜を作っていると、「初もの」を食べる日が 確実にあります。この日の来るのを一年かけて待つのです。「食いだめ」という言葉 はイメージがあまり良くないですが、私達は、まさにそれをします。だから、毎日食 べても飽きることはありません。 そして、やがて「終わりもの」の日がやってきます。「今年もどうも有り難う。 来年また会おうな」と固い約束をするのです。 この約束は守られて、毎年友情の花を咲かせてくれます。しかし、この二年間 まだ会えぬ友がいます。トマトです。去年も今年も、長雨で熟れることなく終わり ました。 三年ぶりの再会を来年こそは、と今から心待ちしています。自分でも、おかしい くらい気の長い話です。 (住職・筆工) 【田園の詩NO.】 【トップページ】 |